地価が安い町は危ないのか
「地価が安い町は、災害に弱いから安いのではないか」という疑問は、家探しの最初に出ます。安住マップのデータで確かめるために、市区町村を洪水浸水想定区域(想定最大規模)の面積比で 4 つに分け、区分ごとに住宅地の地価の中央値と、30 年以内に震度 6 弱以上となる確率の中央値を出しました。対象は住宅地の地価の標本が 4 件以上ある 931 市区町村です。
結果は、疑問の予想とは逆向きでした。面積比が「5.0% 以下」の区分(206 市区町村)の地価の中央値は 36,675 円/m2 で、「70.0% より大きい」の区分(95 市区町村)は 93,500 円/m2 です。洪水の想定区域が広い市区町村のほうが、地価は高く出ています。
| 洪水の面積比 | 市区町村数 | 地価の中央値 | 地震確率の中央値 |
|---|---|---|---|
| 5.0% 以下 | 206 | 36,675 円/m2 | 22.1% |
| 5.0% より大きく 30.0% 以下 | 449 | 48,500 円/m2 | 25.7% |
| 30.0% より大きく 70.0% 以下 | 181 | 86,800 円/m2 | 44.3% |
| 70.0% より大きい | 95 | 93,500 円/m2 | 57.9% |
この表の読み方
表は上から下へ、洪水の想定区域が狭い市区町村から広い市区町村の順に並んでいます。各行の地価と地震確率は、その区分に入る市区町村の中央値です。平均ではなく中央値を使うのは、東京 23 区のような極端に高い地価が数字を引き上げないようにするためです。
この向きになる理由は、データだけからは断定できません。ただ、大きな川の下流にできた平野には、都市と市街地が集まりやすいという地形の事情があります。都市に近いほど地価は高く、平野の低地ほど洪水の想定区域は広くなります。地価の高さは安全の度合いではなく、需要の大きさを映していると読むのが自然です。
地震確率の中央値も合わせて見てください。「5.0% 以下」の区分は 22.1%、「70.0% より大きい」の区分は 57.9% です。洪水と地震は別々のハザードで、区分の中央値が同じ向きに動いていても、個々の町では組み合わせが違います。2 つの災害は別々に確かめる必要があります。
読むときの注意
この表は市区町村単位の集計で、相関を示しているだけです。洪水の面積比が地価を決めている、あるいは地価が洪水の面積比を決めているという因果までは示していません。
標本が少ない市区町村は、地価の中央値が 1 地点の当たり外れで動くため除いています。地価公示の標準地は都市部に偏っているので、過疎地の傾向はこの表では見えにくくなります。
洪水の面積比が小さい町の中にも、住宅が河川沿いに集まっている町はあります。候補を絞ったあとは、その住所の浸水想定をハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」で確認してください。